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2025/05/24 10:15

——どんな小さな民族でも、それ自身の言語をもち、固有の文化をもっているものである。...その民族固有の文化、特にサミの人々にとっては、手作りによる愛情の結晶を意味するドゥオッチ精神を今だに保有し、いろいろの優れた工芸文化を作っている。——(日本民藝館, 1987, p4.)
Sámi(サーミ)は北欧の少数先住民族。
人口はおよそ8万人程度、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、ロシアの4ヵ国にまたがって北極圏の高緯度地方に暮らしています。
言語は独自のサーミ語ですが、方言の差が大きく9つの言語グループに分類されます。
伝統的にはトナカイ飼育に従事し、白樺などの木や根、トナカイの角、毛皮などを用いた手工芸品、ピューター刺繍(錫糸刺繍)の施された伝統衣装や皮袋などが作られてきました。
身近な素材を合理的に使用する技術、特有の色彩感覚、装飾における芸術的なセンスとバランス感覚に、サーミ族の優れた民族芸術、自然との深い結び付きをみることができます。
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ピューター刺繍の起源は13世紀頃、スカンディナビア人との交易で、金糸・銀糸細工にヒントを得たものと考えられています。
錫はサーミ人が加工できる唯一の金属であり、錫という素材を「貧しき民の銀」と呼んでいました。
自然崇拝、シャーマニズム的な原始宗教を背景にもつサーミ族にとって、魔除け・お守り信仰、中でも金属の守護的な効果に対する信仰は非常に古いものです。
刺繍に使用する錫糸は、(伝統的には)動物の腱の周囲に細いワイヤー状に形作った錫をコイル状に巻き付ける、という特殊な製造方法で作られ、赤、青、黄色、緑など明るい原色の生地の上に美しい幾何学模様で縫い付けられます。
【引用文献】
(財)日本民藝館 (1987).北欧・トナカイ遊牧民の工芸.印象社.
【参考文献】
Istvan Racz (1972).Saamelaista Kansantaidetta.Otava.
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